航海3

最後

最後

「では、これで最後の勝負ですね、頑張って下さい」

ディーラーは心にも無い事をにこやかにシンに言った。その光景をシンの相手の後ろで、椅子に座ってふんぞり返っているカジノのオーナーが、ほおつえ頬杖を突いてにやつきながら見ていた。

クレアは激怒した。多分、シンは昨日の自分の話を聞いて、恐らくは一度もやったことがないポーカーで勝負を受けたのだ。自分の負け分を取り返す為に…

シンは一生懸命やっているのに、相手のディーラーがグルでは勝ち目が無いではないかっ!

オーナーの急所でも蹴り上げてやらなければ気がすまない。

クレアは人込みを掻き分け、オーナーの下に歩み寄ろうとした。

しかし、その腕をレイがつかんだ。

「…どこに行く気だ?」

クレアは苛正しそうに、

「決まってるでしょ。あのクソオーナーのとこよ」

小声でレイの方は振り返らずに囁く。

「…シンはお前の為にこの喧嘩を買ったんだ…最後まで見届けていけ…」

レイがそう言った時にはもうカードは配り終えていた。

(ここで大金を巻き上げる)

ディーラーはこれまで、シンにはそこそこ強いカードも渡してある。そして、今回も弱気なシンに、何とかガンガン上積みしてもらおうと、エースのスリーカードというかなり強い手札を渡した。

もちろん、相手には7のフォーカードという、シンの上をいくカードを渡したが…

「さて、ではカードの交換は…」

「僕は全部交換して」

シンはあっさりそう言った。

(スリーカードを捨てるなんて何を考えているんだ?)

ディーラーも、シンの相手も訳がわからない、といった表情だ。

シンに五枚のカードを配る。

「こちらはこのままでいい」

この相手の言葉に場内が沸き起こった。

だがシンが五枚の手札を見て微笑んだのを、シンの相手もディーラーも見逃さなかった。

「では、賭け金は…」

「200ガルド上積みで」