上積み
(これ以上、上積みしても降りられてしまうな)
このように考えた相手はディーラーにアイコンタクトを送る。ディーラーも頷く。
そう。この二人はもちろんグルだ。ディーラーはこのカジノに雇われた相手を勝たせて、カジノの儲けに貢献しているのだ。このカジノに雇われた相手にもいくらかの報酬が出される。何人かにはある程度勝たせて、他の全ての人物からはある程度の額を巻き上げる。そうしないとカジノにまたこよう、という気概が起こらないし、カジノの利益にならないからだ。
ただ、相手が旅人、しかも、結構な額を持っていそうな相手なら、全額巻き上げる。旅人はこの街にはもう二度とやって来ない可能性の方が高いのだから、取れる内に取っておこう、と言う訳だ。
最初は勝たせて、徐々に金額を増やしていく。このカジノのじょうとう常套手段だ。
「では、手札を見せて下さい」
シンのカードはキングのワンペア、相手はエースのワンペア。
「あ〜、惜しい」
シンは悔しそうに手でポーカーの台を軽く叩いてそう言った。
だが、惜しくなんかはない。これは全てディーラーの計算通りなのだから。一流のディーラーになれば、この程度の手札の操作は朝飯前なのだ。
30ガルドが相手の金額に加算される。