二十万
シンの相手はディーラーと共に人目もはばからず憚らずに、オーナーを振り返った。
(いけっ、二十万だ、二十万!)
オーナーは豪気に目で訴えるが、二人共不安にさいな苛まされていた。
あの手札を見た時の微笑みと、連れに言った『絶対に勝てる』という言葉。更には最初の勝負の時に、スリーカードでも勝負を降りた少年の弱気な性格。だが、今は一転して自信満々でガンガン上積みしてくる。これから導き出される結論は一つしか二人には考えられなかった。
…最高の手札が相手に渡ってしまったのでは…と…
「…二十万、追加…」
それでも粘る相手。
だが更にシンは追い討ちをかけた。いや、賭けた。
「物質粒子化装置って、いくらするのかな?」
この言葉でポーカー台を囲む人間は、レイを除いて全員が凍りついた。
物質粒子化装置は古代の遺跡から発掘されたオーOパーツだ。値段なんてつけられない。
「確か、『おーくしょん』ていうもので買った時は、1千万したんだけど…」
これにはオーナーも観念した。相手が悪すぎる。一千万なんて賭けて負けた日には、自分は破産してしまう。ここで引くしかない。青ざめている二人に合図を送る。