航海3

イカサマ

イカサマ

(いや、奴や、周りの人間もイカサマをしている様子はない)

ディーラーは視線でそう訴えた。

相手はしばらく時間を置いて、

「…もう500ガルド追加だ」

ディーラーに告げた。

ところが、シンはそんなことはそっちのけでクレアに何事か囁いていた。

「…あんた、本気?」

クレアはシンが正気かどうか疑った。

「大丈夫、絶対勝てる。すんごくいい手札なんだ」

シンが自信満々で耳打ちする声をディーラーは聞き取った。

そんなシンに対しクレアは、

「まあ、弱気なあんたがそこまで言うんだから、相当いい手札なのね…わかったわ。あとで勝金半分よこしなさいよ」

「OK」

シンはクレアからある物を受け取り、それをポーカーの台に乗せた。

「この剣を賭けます」

その剣を見てオーナーは興奮した。

剣自体はどこにでもある二束三文の剣だ。しかし、その剣の柄に埋め込まれている品物に、オーナーは目を奪われた。

「このマジックストーンは、5000ガルドはしますよね?」

シンの確認にディーラーは頷くしかなかった。そのマジックストーンはそれ程見事なものであった。倍の値段を提示してもいいくらいだ。

ここまでくると、ディーラーの心の中にも、ひょっとして自分はミスをしてしまったのでは、という考えが頭をよぎった。がそれは一瞬の事。万一、失敗していても、7のフォーカードを上回る手札でなければ勝てないのだ。そんな確率は皆無に等しい。